こぼれるような笑み


小さな映画館だった内装がそのまま残る建物の中で不思議な物語は始まっていた。
曖昧な言葉だけをすがるように信じたのは、私だけじゃなかったね。
ぽつりぽつりと、だけれど流れるように話しかける。
美意識そのものがヒト形をとっているようで、
たった1人で立つしかないのだろうなと、ふと思う。
「どれも間違いとは思いません。そこに心があるのなら。」
全く違う話題で語られた言葉なのに、指差された気がした。