三が日


元旦のこと。
投げ入れた日本水仙の清冽な香りで目が覚める。うららか。
便りを受け取ったり待ち侘びたり御馳走たらふく寝正月。
したためる墨の乾いた日没後、年賀状を投函しに外に出る。
車の往来はまばらで、エンジンの音も心なしか大人しい。
海は、えーっと、暗くて見えなかったっけ。
空家と思っていた磨ガラス窓に灯りが点るのを見て、少し驚いた。
初夢の日のこと。
夢は見ない。初夢も見ない。
初売り。行き交う楽しげな顔々に気持ちが晴れやかになる。
と同時に、装飾を施した衣を触媒とする欲望が動き出すところを見ている。