帰りみち


空は朝から白く靄ったまま夕方になった。
自分でも理由は分らないけれど、ある場所へ出かけるとき、
往路と復路のルートが自然と違っている、というスポットが数か所ある。
そういう場所って、最初から往路とは別の復路で慣れてしまっている。
今日うかがった先も、そんな場所のひとつ。
「どおれ、往路を戻ってみましょ。」
と思い立ち、いつもの道に行ってしまわぬよう、かなり意識して帰って来た。
逆から通ると、知っている道なのに、知らない道。
あー。いつもと違う道で帰ろうと、なぜ思ったんだろう。
時間調整で入ったお店でシャドウをひとつ買ったせいかな。
雑木山の端っこで、今が盛りの桐の花色。