月も改まったことだし


丸一日屋上に停めっぱなしだったブラックナイトは霧雨を受けて水玉いっぱい。
車内が温まるまで、くもりガラス。
冷たい空も同じく、目に見える水玉が浮いてそのまま夜を曇らせている。
星は無い。
なんて素晴らしい閉じた世界。
こういう夜は、遠くの事まで見なくて済みそうで落ち着く。
うんと傍のことだけ。
たったひとつ月と私だけ。
それだけで生きて行ける。